グローバルってなぁに
「グローバルでビジョナリーシンキングの会社に就職するわ」
「違います。これはただの意識高い系のカタカナコンプレックスです」
「うちの子はインターナショナルスクールに行ってグローバルな人間にさせるわ」
「これもアウトです。自分に1ミリもないものを求めてはダメです
このように日本人はグローバル化を「欧米化」と勘違いしている人が多いのです
グローバル
世界の一体化
人、モノ、金、情報が国境を超え自由に移動することです
国境を越える=ボーダレス化です
人や情報や物の移動が容易になりました
「とても便利だわ」
しかし新たな問題が生じます
- 国際競争における経済格差
- 環境破壊
EU
ギリシャ神話に出てくるフェニキアの姫エウロパ(Europa)が語源
ヨーロッパ(Europa)は別々の言葉、文化を持つ様々な人々が住んでいました。17世紀には主権国家の概念が生まれました。主権国家が生まれると互いに対立するようになり、度々戦争が起こります。2度の世界大戦の後、ヨーロッパ諸国は考えた
なぜ戦争があるのか?
戦争をなくすにはどうすればいいのか?
ヨーロッパ諸国は答えを導き出した
国境を無くせばいいじゃない
「国境」をなくし、人の行き来を自由にすれば、戦争がなくなると考えたのです
1952 ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)を設立
なぜ、石炭、鉄鋼を共同管理するの?
フランスのアルザス、ロレーヌ地方は農作物が豊富、石炭が大量に埋蔵された豊かな土地でした。豊かな地域を獲得した国はおのずと国力が強くなります。この土地をドイツとフランスが奪い合いをして紛争地でした
石炭、鉄鋼の管理を共同管理すれば衝突を妨げると考えたわけです
「ヨーロッパ共同体は戦後ドイツの牽制のために発足されたのね」
欧州議会はアルザス地方の中心都市ストラスブールに置かれています
1958 ECC(欧州経済共同体)設立
EURATOM(欧州原子力共同体)設立
国境を超えた共同市場を作って商品の売り買いをはじめた
1967 EC結成 (ECSC.EEC.EURATOMをまとめた)
1973 イギリスECに参加
1989 冷戦が終結しました。アメリカのドル、日本の円に対抗する必要性からヨーロッパ連合は加速します
1992 EU誕生(マーストリヒト条約)
加盟国28
総人口 5億1千万人
GDPは世界の22%(アメリカ24%)の巨大な共同体となりました
2002 ユーロ(統合通貨)始まる
肥大化したEU
それぞれの国には独自に決めてきたルールがあり、よく もめていました
EUのなかには各国の利害調査のために働く官僚が増えていきます
加盟国は全て「平等」という理念から会議では言語の数だけ通訳が必要になりました
肥大化したEUは運営が非効率になっていきました
ほころび
2005 フランスとオランダが国民投票により憲法条約を否決しました。加盟国の安い労働力により、雇用が悪化したためです
ユーロは財政状況の悪い国は参加できません。一国が破綻すれば連鎖的に破綻するからです
国が財政難に陥った時の政策は2つあります
1.金融政策
景気が悪くなれば金利を下げてお金を借りやすくして
景気が良くなれば金利を上げでブレーキをかけ調整します
2.財政政策
景気が悪くなれば公共事業を増やして経済をコントロールする
通貨の統合は、不況になった場合、自分たちで金利を調整できないという弱点があるのです
不況になったギリシャにとって中央銀行の金利が高すぎました。ギリシャは帳簿をごまかして国債発行をどんどんすり公共事業をはじめます
2009 ギリシャの不正がばれてギリシャは経済破綻状態になります
ドイツ、フランスが負担して、ギリシャ危機を乗り越えました
1989 冷戦が終わり、東ヨーロッパの国々がEUへどんどん入ってきます
社会主義体制の人々は教育レベル、識字率が高く、非常に良質な労働力を低賃金で雇えます
東ヨーロッパの人々が西側ヨーロッパに移民したのです
イギリス
イギリスには失業保険があり、生活保護、医療費無料など福祉が充実しています
そのため多くの移民が流れ込んだのです
しかし、大量の移民全てが職につけるわけではありません。イギリスの失業率は上がります
イスラム国の台頭により、中東情勢が悪化すると、大量の難民がヨーロッパに押し寄せます
イギリスの人からみたら、職を奪われた、福祉のタダ乗りされているような気持ちになる人もいます
移民の一部にはEUに馴染めずテロを起こすこともあります
イギリスではEU離脱の声が高まります。反対派を黙らせるためにジョンソン首相、イギリス政府は
2016 6月23日 「EU離脱か否か?」と国民投票を行います
写真 日本経済新聞
離脱派52%
残留派48%
投票率71.8%
これを
BREGRT(britain regret)と言います
「再投票したらいいじゃない」
写真 日本経済新聞
メイ首相(離脱反対派)は一度国民投票で決まったものをひっくり返すのは民主主義じゃないと離脱を進めた
2019 イギリスの「トランプ」と呼ばれる離脱強硬派のボリス=ジョンソンが首相に就任してEUと再交渉した
写真 プレジデントオンライン
2020 1月 イギリスは正式にEUから離脱しました
イギリスもEUも難しい問題に直面しています
イギリスでは関税のために企業が国外から逃げ出しています
イギリスは経済的くるしくなるのでは
イギリスは英国連邦(カナダ、オーストラリア、南アフリカ、インド)などと結束強化
これはイギリスだけでなく、EU全体に起こっている問題です
反グローバル
フランスではテロ事件が相次ぎ移民についで人々は不安なりました
フランスでは「国民戦線」が大きく票を伸ばしました
画像 CNN
党首マリーヌ=ルペンはEU離脱を主張しています
イギリスでは「イギリス独立党」
ドイツでは「ドイツ国民党 ドイツのための選択肢」党首フラウケ=ペトリー
これらは「反移民」「反EU」思想があり「極右政党」と呼ばれています
極右政党の党員とその支持者は基本的にはナショナリズム信奉者です
2016 「アメリカファースト」を掲げるドナルド=トランプ大統領が選挙で選ばれます
Q.ナショナリズムの起源は
A,フランス革命
この理念はあくまでも結果であって、最初から意図されていたわけではありません
財政難に陥ったフランス。ルイ16世は特権階級(僧職者、貴族)から課税をしようとした
特権階級は反発した ためルイ16世は三部会を開催した
第一身分(僧侶)
第二身分(貴族)
第三身分(平民)
第一身分と第二身分が結束して第三身分の意見が通りません
第三身分の代表たちは独自の議会を設け特権階級に合流するように呼びかけます第一身分から151人、第二身分の人から47人が応じます
彼らは平民の中でも富裕層に属していました
自分たちの立場を正当化かつ合理化するために
王権神授説身分制を否定することでした
そこで
にして基本的人権や平等を揚げると共に
身分に代わって一定額以上の納税を政治への参加基準としたのです
身分制を否定したからには
中下層の平民が社会的上昇を図れる道筋を示さなければなりません
より多く稼ぎ、納税者が基準以上に達したならば、政治への参加資格が得られるのです
「フランス革命は弱者のためではなく、裕福平民である自分たちが支配する政府だったのね」
何よりもまず経済的に豊かでなければなりません
豊かになるためには、経済活動の自由化を推進する必要があります
そのためにはフランスの民を一つに結束する必要があります
フランス革命以前の民は「王の民」「領民」でした
そこで考え出されたのが「国民国家」という概念だったのです
革命政府はフランスの民を「フランス人、フランス国民」として教育し団結させたのです
団結した「国民国家フランス」はナポレオンという強い支配者を皇帝としてヨーロッパ大陸を制圧したのです
世界のどの国も
人間は基本
トランプ大統領のように大声で言わないが
自分ファースト
自国ファーストです
国境をなくしても
人間と人間同士の心の壁を全て取り除くならば
境界線(プライバシー)の侵害になり
だからといって壁があるならば仲違いの元になります
人間と人間の距離感は非常に難しい問題です
グローバル化により生活は便利になりましたが、移民、難民、テロなど様々な問題を引き起こし反グローバリズムが(ナショナリズム)が広がりました
だからといってグローバル化が間違えてるわけではありません
第三の道を私たちは模索しなくてはなりません
EUはイギリスの離脱によりドイツの存在が大きくなりました
元々はドイツ牽制のために発足したEUがドイツ主導になりました
「EUは更に問題が起きたわ」
「新型コロナウィルスね」
ドイツをはじめ一部加盟国はマスクなどの国外の輸入禁止
多くの国が国境を閉鎖
医療危機に際してEUから支援をあまり受けられなかったイタリアをはじめ多くのEU諸国がEUに失望しています
EUは今、存在意義を問い直されています