ことりの啓示

カルト宗教、洗脳研究

宗教ブログ

従順すぎた東大生の末路

豊田亨

1968年 兵庫県で生まれる。両親は教員。親戚は教員だらけのエリート一家に生まれる。性格は大人しく、優しい、バカがつくくらい真面目な子。リーダーシップをとるわけではないが、性格は明るく、温厚で極めて優秀。中学生の時、ノストラダムスの大予言にハマり宗教的なものに興味があった 

この子は放っておいても大丈夫(両親)

放っておいても大丈夫な息子はある人突然 家出してオウムに出家した。両親は息子が宗教に執着していることは気づいていなかった

社会的な出来事に興味がなかった

東大の物理学部に現役合格。入学手続きのために上京した東京駅地下の本屋で、麻原の本「超能力」に惹かれオウム神仙の会に入門してしまう。東大でも成績は優秀で素粒子物理学を学んだ

ヨーガの修行で自分の能力が伸ばせればと軽い気持ちで始めた

豊田はそんな熱心な信者ではなかった。しかし高学歴を優遇する麻原から強く勧められて出家することになる。豊田は村井から井上と相談の上でサリンをまくことを指示された

Q.普通の青年がテロリストになるのはなぜ

オウムのマインド・コントロールは神秘体験である。マインド・コントロールによって回心した人に共通して言えるのは、それまで非常に低い精神状態にあった自分が生まれ変わったという体験を持つことで、回心していない人は自分より霊的に低い存在として見下すエリート意識が芽生えてくるということである。更には、他者の力を借りてマインド・コントロール(神秘体験)ができたと思うと、その指導者、師に対して盲従する傾向が顕著になる。これにより、普通の青年も、優秀な人格者さえもテロリストに仕立てることもできることが立証された

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尊師の指示に従わないことは、自分の煩悩であり、心の汚れであり、心の汚れである‥思考停止して上からの指示に従うことが生き方になった

サリンをまいて死者が出たとしても、その人の魂は高い世界に移される、人類救済と信じていた

指示されたからは喜んでやらなければならない

権威主義

人間は誰でも 権威者がいると、その人に決断や責任を委ねる要求がある

私たち人間は自分自身で判断するのが不安なのだ

小さい時は親の言うことを聞き

学校に入れば教師の言うことを聞き

部活では顧問、先輩の言うことを聞き

社会人になれば社会に順応する人間になる

自分の求める権威が無くなった時、それに代わる権威を探し出したい要求があるのだ

カルトはそんな人間の弱点を最大限に利用する

グルの意思に盲従することが修行の成功であると信者に刷り込むのだ

カルトでは従順は美徳でと刷り込む

豊田は権威に対して従順だった

従順であればあるほど騙されやすい。疑わないからだ

権威が良いものであるならば問題ないが、しかし権威は「人間」であれば不完全であり、常に正しいものではない。豊田の権威はペテン師だった

従順は楽ちんだ。従順さは責任感の欠如、退廃につながる

実行後

「偉大なるグル(麻原)とシヴァ大神にポアされて良かったね」というマントラを一万回唱えなさいと指示され その通りにした。地下鉄サリン実行犯として逮捕される。母と妹の面会があると聞くと自供を始めた

修行だと思って麻原の後をついていったらとんでもない犯罪者になっていました

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法廷での麻原の一貫性のない言動、無責任で、弟子に責任をなすりつける態度に麻原に失望して洗脳がとけていく

明らかな犯罪行為で、人間として許されません。生きていること自体が申しわけない

法廷での豊田

法廷で感情を表すことがなく淡々と証言する豊田をマスコミは「ポーカーフェイスの男」と称した

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正しいとか間違っているとかは考えない。上からの指示は無条件に従うものだと考えた

起伏がなく、ボソボソと事件淡々と話すそんな豊田の態度に

無差別テロの犯人である豊田は、法廷で顔色変えることなく無表情でいる。罪の意識、反省の色がない(週刊誌)

豊田が誤解されている。と懸念した3人の友人たちが法廷で豊田の誤解を払拭するため証言台に立つ

友人1

豊田は律儀な男。「必ずしノーベル賞を取る」が口癖で、ビートルズが好きでギターを弾いていた。生と死、宗教、に興味があった。いい奴だけど 他の人と話すことで別な観点を見つける努力が苦手だった。衆議院選挙の時テレビでゾウの被り物を被って踊る豊田を見た。地下鉄サリン事件による強制捜査により教祖、実行犯逮捕により、これで豊田君が返ってくると思ったら実行犯だった

 

友人2

誠実な人柄、明るく、温和な人

 

友人3

「豊田君ほどの人物が、このような犯罪をおかしたのだから、私のような弱い人間は、もっと凶悪なことやりかねない‥」

以上の友人の証言から洗脳以前の豊田が善良な人柄でかつ人望もあったことが伺える

広瀬と豊田の公判に麻原が出廷した。しかし、広瀬は自責の念から言葉をはっするこができなくなっていた。麻原は「地下鉄サリン事件は井上と村井が考えた計画で自分はむしろ止めたのだ」と繰り返す。豊田はいつも小声でボソボソ話す。質問する方が苛立つような聞き取りにくい小声で、しかし、その日の豊田は違った。きっと麻原を見据え。麻原を詰問しはじめた

松本被告、僕は、今日何も言わないつもりで来たんですけれども、今日のあなたの態度を見て考えが変わりました。あなたは本当にグルなんですか?

麻原 黙り込んでいる

どうなんだ!

麻原 ‥‥‥

‥どうせ返事はないでしょう。最後に一点だけ言います。今 教団に残っている人、この現実をしっかり見た方がいいと思います。証人(麻原)は、前回地下鉄サリン事件は井上と村井に押し切られた、と言いました。彼には弟子を止める力がないわけです

発語できなくなった広瀬の代わり雄弁に麻原を糾弾したかのようだった。豊田は本当は雄弁で熱い男だった。法廷で情状酌量を求めるような言い訳は、被害者を更に傷つけると考え、言い訳がましい余計なことは言わなかったのだ

この中(監獄)にいるような連中はヤクザもんばっかですけどね。この人は人格者ですよ。この人は違う。そういう人間を見る目は私たちは持っている。どうしてこういう人があんなことしちゃったのか。惜しい‥絶対に繰り返さないように、一つ先生は頑張って貰いたいですね(看守)

豊田の家族は公判中に遺族に謝罪。800万円を被害者の会に寄付した

豊田最終弁論

初期ではまともだった麻原が変容していったと思いたかった…法廷での麻原の姿を見ていると、初めからうわべだけだったとしか考えられません…それを見抜けなかった私は愚か者であり、松本が極悪人であるとすれば、それについて行き、取り返しのつかない凶悪犯罪を実行した私もやはり極悪人です‥私は人間として生きる資格がないと思います

一審 死刑判決

いかに人格が優れていても、それはサリン事件の被害者にも言えることで‥

裁判官は豊田を人格者と認めながらも責任重大として死刑を言い渡した。本人は死刑を望んでいるため控訴しなかったので弁護士が控訴した。3人の友人は「豊田は犯行時には洗脳による思考停止状態で判断力がなかった」と死刑を回避する嘆願書を提出した。死刑ではなく、事件の意味を明らかにさせて、悲劇の再発を防止することが同じ悲劇を繰り返さない。それが重要なのだ

  • 麻原と弟子13人が死刑になれば、それで犯罪がなくなるのか?
  • 死んだ人は返ってくるのか?
  • 世界は平和になるのか?

日本の法廷は彼らに精神鑑定を受けさせなかった。精神鑑定を受けさせたら、全員無罪となるためだ。オウムはただの洗脳ではない。LSDを使用した洗脳。ナルコと呼ばれる薬物を使用した記憶操作をされれば、殆どの人はオウムの洗脳をされれば彼らと同じくテロをおこす。麻原の幼少期を知るならば、情緒酌量の余地はある。弟子たちの罪は師を選ぶことを失敗したことである。オウム信者にとっては麻原彰晃が法律であり秩序だった。信者たちはオウムの秩序を守るためなら殺人も厭わなかった。彼らは、秩序の維持のためなら殺人は厭わないという日本国家に裁かれ、処刑された。日本国家の死刑とは 彼らの「ポア」と同じ行為なのだ

死刑判決後

7月6日 麻原以下、6名の弟子の処刑がくだされた。面会に来た伊藤乾に対し豊田は

自分は自分の責任を取る。ただ言い残したいことがある

(日本は)事実ではあるか、そうでないかを問わず、何かあった時、誰かを悪者にして吊し上げ、それで溜飲を下げる

カルトは霊感商法みたいなものだ。霊感商法に騙された人を処刑しても問題解決にはならない。それが「解決」と考える人はカルト信者並みの思考停止である

例)南アフリカ

当時南アフリカではアパルトヘイトに起因する様ざな犯罪行為があった。司法は再発防止のための、真実の徹底的に解明することにした

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あらゆる真実を、余すことなく証言することにより死刑囚を免れる「和解のための調停」制度が導入された。同時多発テロでは、実行犯を終身刑にした、同じ事件を防ぐためには生き証人を活用し、なぜ恵まれた家庭で育った理系エリートがテロリストにされたのかをあらゆる角度から検証することが悲劇再発防止になるのだ

失敗学

機械工学の畑村洋太郎教授

一度犯した失敗は、そのメカニズムを含めて全てを、明らかにすること。責任の追求にあたって、真実を隠蔽する方向に当事者が動かないようなシステムを作ること、起きてしまった事故のありのままを、できる限り公正に残すこと。全て記録し、分析すること、これを徹底することで事故や、失敗は、それを繰り返す危険から私たちを遠ざける貴重な知識になる

ISIS

イスラム国に志願する若者が後をたたない。彼らは医者、教師など中流以上の理系高学歴である。日本赤軍も医学部など理系エリートだらけだった。統計的に理系エリートのテロリスト率は高い。大事なのはテロリストになった人を罰するのではなく。未然にテロリストになる人を防ぐシステムこそが解決です。オウム幹部たちはテロリストになる理系高学歴の心理を最も理解できるのだ。なぜ自分があのような行為に至ったかその頭脳で分析し、解析し、若者のテロ化を防ぐシステムを考えることが一番重要です。私個人の考えでは麻原の死刑に対して、弟子たち1ランク軽い刑にすべき。命令した麻原は罪深い。従わざるえなかった者が同じ量刑は公正ではなく、不条理と私は考える

大学時代の豊田の友達である作者は 言い訳しないで死刑を望んだ豊田亨をサイレントネイビーと名付けた。大東亜戦争日本海軍のことである。海軍は「玉砕」という言葉を発明して 失敗してもあれこれ言い訳しないで黙って散っていった。東京裁判では、上からの命令に従った約1000人のB、C級戦犯が処刑された。大東亜戦争に関すると、全体主義のもと日本人は皆参加せざるを得ない。オウム幹部はオウムに入信する選択を自ら行なっているから同列にはできない。カルト宗教は全体主義ファシズムに類似性かある

死刑執行

7月6日 麻原死刑執行を聞いた豊田は自分の所持していた現金を匿名で西日本豪雨の支援金として寄付した

参考文献